2007年12月15日土曜日

社会心理学

昨日、自宅に帰ると見慣れた封筒がポストに入っていた。
レポートの返却用封筒・・・。最近のレポートはDばかりだったので恐る恐る開封すると、社会心理学のレポが中に入っていた!

開いたら、評価は“A”でした。
レポートでAを採るなんって久々です。
評価欄を見たら、コメントなし・・・5段階評価にも全く記入なし・・・。
うれしいけど、、、、何が良かったのか?悪い点があるなら何処なのか?少しは記入してほしいかも!

実際のレポートは以下の通り。

問1,ル・ボン、タルド、ジンメルの流行理論について述べよ。
◆序論
 流行理論とは社会心理学の中心的なテーマとして多く考察されている。その「流行」とは、『流行の社会心理史』によると、「ある社会集団の中で、一定の人たち、一定の期間ある意図のもとに始められた同似の集団行動をとるように心理的に誘われることである。」または、「社会の許容する範囲内で、社会生活を営む個々人の新しい社会的行為が他社との間において影響し合いながら、新しい行動様式、思考様式として社会や集団のメンバーに普及していく過程であり、その結果、一定の規模となった一時的な集団現象である。」とあると定義されている。そこで、今回のレポートでは様々な流行について、ル・ボン、タルド、ジンメルの主張する理論を考察する。

◆ ル・ボン
ル・ボンは『群衆の心理』において、初めて“群集”と言う概念を打ち立てた。群集は一般に一時的に集合して、やがて散っていく人々を指し、ル・ボンの捉えた群集とは、肉体の接触が可能となる近接状態での密集した集団である。
ル・ボンの流行説は「感染説」である。彼は、医学を学んだ医学博士ある。野戦病院に勤務した経験より感染という概念を持っていたのである。ル・ボンは「群集の思想、感情、感動、信念などは、細菌のそれにもひとしい激しい感染力を具えている。」と、述べている。また、匿名性や被暗示性と密接な関係にあるのが「感染」の概念である。ル・ボンの感染説は群集の小集団内の行動のメカニズムを考える際に大変有効な考えであり、感染説は社会的・心理的に異質な人々の同質化とその際の相互作用に注目しているところに特徴があるのである。
◆タルド
 タルドは、ル・ボンの群集と言う概念に対して“公衆”と言う概念を『世論と群集』において打ち立てた。また、タルドの著書で『模倣の法則』が流行を考える上で研究の初歩としても知られている。
 タルドは、「社会は即ち模倣であり、模倣はこれも即ち一種の夢中遊行病である」と述べている。これが流行は「模倣」であるとすると彼の主張である。分散している存在に、印刷やメディアを媒介として間接的に接触しておる集団である。個人レベルから集団レベル、社会レベルへと一連のつながりにより展開する。漠然と示される個人レベルの模倣に対して、集団レベルにおいて初めて、より具体的に模倣の対象となるコンセプトの流れを示した点が大きな特徴である。タルドの概念は個人的・小レベルのみならず、より次元の高い社会全体まで拡張して応用しており、その意味では必然的に社会と個人の相互作用にお力点を置いているところに特徴が見いだせる。
◆ジンメル
 ジンメルは基本的にドイツの社会心理学思想の流れをくんでいる。
 ジンメルは流行に参加している人たちを「周囲の人々へ同調性を求める欲求とそれらの他者との差異化や個別化を求める相反する欲求を同時に持ち合わせているからだ」と、唱える。他者への同調と非同調の欲求が同時に存在し、かつ満足させられると言う“両価説”である。
 流行を生み出すのは、二つの対立関係にある欲求と、模倣や同調化の反作用とも言える異差の欲求であるとしている。ジンメルの流行理論は限りなく、模倣の概念に近い。「流行とは与えられた範例に対する模倣であるとしているのである。

◆ 結論
ル・ボンやタルドは感染説、同一線上に展開する模倣というものが流行に対して大きな影響があることを述べている、また、ジンメルも両価説という人間の心理共に、タルドと同じ模倣という概念を述べている。
社会に流行という現象が起こることは、集団という人々の集まりにおいて、感染や模倣という現象により人々に拡大するということなのである。

◆ 参考文献
・ 『流行の社会心理史』市川孝一 1993年 学陽書房
・ 『現代社会学入門(第二版)』江草忠敬 1962年 有斐閣
・ 「ル・ボン、タルド、ジンメルにみる流行理論の系譜」中島純一 2000年
・ 『ゲオクル・ジンメル』居安正 2000年 東信堂
・ 『群集心理』ギュスターブ・ル・ボン 1993年 講談社学術文庫
・ 『模倣の法則』ガブリエル・タルド 2007年 河出書房新社

問2,「模倣犯罪」を流行の観点から説明しなさい。
◆序論
 他者の行動や特性を観察することによって類似した行動パターンや特性を習得することを「模倣」と言う。また、罪を犯すこと、犯した罪、もしくは刑罰を定めた諸規定の犯罪構成要件に該当する行為を指して「犯罪」をと言う。起きた犯罪と類似した犯罪が起きたとき、後発して起きた犯罪を「模倣犯罪」と言う。
 今回のレポートでは、何故模倣犯罪が起こるのかを陰陽理論を用いて説明し後に、何故流行するのかを考察する。

◆陰陽理論
 認知の陰陽理論とは、人の態度対象とは全てに正と負の二面性をもち、人が正しい態度を表明しているとき、負の側面は忘れ去られているのではなく、陰に抑圧されており、この側面は常に表面に浮上する機会を伺っているという理論である。マスコミにより、大量報道される情報は普段は抑圧されている側面が犯罪行為への欲求を顕在化させる働きをもち、この事により、模倣犯罪を惹起している可能性が高まるのである。
 実際に、模倣事件発生から終結までには、5つの段階があるとされている。
ⅰ、発端となる事件が起きる、第一段階である。発端となる事件が起き、その後一人、または二、三人より類似の事件が起こる段階である。事件後、直ちに模倣犯罪が起こるわけではない。犯罪は実行に移そうと思っても簡単に移せるものではなく、普段は抑圧して日常生活を送っている。しかし、マスコミにより事件は大々的に報道すると、今まで隠されていた思いが表面化して、その感情を抑えられなくなった一部の人間が犯罪を起こす、本人は模倣をしていると言う意識は希薄であると言える。
ⅱ、類似事件の報道が第二段階である。「初期模倣段階」と言い、第一段階と脳内のメカニズムは相違ないと思われるが、第一段階より模倣をしているという強くなる。
ⅲ、多くの人たちは模倣事件のマスコミ報道に接触した人たちが更に模倣を引き起こす、第三段階である。これは「中期模倣段階」である。認知の陰陽理論という先と同じ心的なメカニズムが働いていると予測される。多くの人が事件を様々なマスコミ報道により繰り返し聞く、受け手は事件が珍しいものでないと受け止め、心理的鈍化・麻痺が生じ、罪悪感や抑制心が薄れ、事件を実行しやすくなるのである。模倣はこの段階でピークを迎え収束へと向かう段階であると言える。
ⅳ、「模倣収束段階」これが第四段階である。現象は無限には続かない。報道が小さくなり関心は他のことへと移り、模倣をする人間も減る。人々が無限に模倣犯罪を続ければ生存者はゼロになるが、実際には斥力は引力とのバランスを保ち、生存者がゼロになることは無い。
ⅴ、模倣をする人がゼロになる「模倣終結段階」、第五段階である。散発的に類似事件は起こるが、模倣事件を真似たものというよりは、単独発生した事件と解釈する方が妥当である。
第一段階から第五段階までは、期間は事件によって異なるが、1ヶ月から1年以上に渡ることもある。

◆何故、模倣犯罪が起こるのか
 一般に模倣犯罪は、報道量が犯罪量に直結するわけではない。模倣を引き起こす条件としては3つの条件があるとされている。
まず、第一に実行可能性が高い場合である。犯罪自体が比較的単純で模倣しやすく、特に準備段階や実行段階で手段が複雑性や専門性が低く、犯罪供与物が入手しやすい場合は実行可能性が高くなる。
第二には、犯人の匿名性が高い場合である。犯行が不特定多数で被害者に対する犯人の動機付けが特定しにくい時、犯人の匿名性が高くなる。匿名性が高くなると、逮捕率が低く犯罪行為に対する罰がより小さいと認知されるのである。
第三には、模倣の報酬が高い場合である。自分が犯した犯罪が大きく報道されることは愉快犯や劇場型犯罪の場合には高い報酬となる。この高い報酬を求めて模倣に走る。報道に接した犯罪が起こる、その結果として、大量に報道され抑圧されていた犯罪動機が顕在化し実行方向に刺激され、また報道、犯罪と悪循環が生じる。報道量の増加により模倣の容易な側面が模倣の可能性を高めるのである。

◆結論
 模倣犯罪は、人間の心理と言う、陽と陰の側面の内陰の側面が顕著化したときに起こる。つまりは人間の本来理性により陰の部分が表面化するために起こると言える。また、模倣犯罪が流行する原因としてメディアによる報道が大きく関わっていることが言える。

参考文献
・ 『社会心理学』慶応大学通信教育学部教材 
・  『説得と影響-交渉のための社会心理学-』榊博文 2002年 ブレーン出版

本当に、書籍をまとめただけのレポートですかが・・・その方がいいのでしょうか?
しかも、問1に関しては教科書を熟読しレポートを作成するようにと、指導要綱にかかれているにも関わらず、一切に記載が教科書にないと言う驚きな事態でしたが・・・結構お勧めなのかも!

2 件のコメント:

Blue Blueberry さんのコメント...

やったね(^^)v
モチベーションあがったかな?!
この波に乗って、次のレポ完成だ

紅咲 さんのコメント...

Blue Blueberry さん
頑張って次のレポート頑張ります!
でも,他のことで今は頭を使っています(^^)